日いちにちと体調がよさそう 看取りの覚悟はぼんやりと

午前中のこと

起床、5時50分。お風呂を追い焚きして入る、身支度。

バスルームの小さい窓をあけて外を見あげると、斜めうえの家の白い壁に、明るい朝日がチラッと見えた。いよいよ春が来るんだ。

カゾクの様子を見る。ベッド上に座り、スマホとTVに夢中。

聞くまでもなく、抗がん剤の副作用の下痢がかなりよくなった、と報告あり。

カーテンを開けて、朝ごはんのメニューを確認する。

朝ごはんの前に、今すぐスープを飲みたい、とのこと。コーンポタージュの粉をお湯に溶いて、持っていく。

さらに、朝ごはんの前にボルタレンを飲む、と。この薬は適当に飲めっていう指示だろ?と言うので、違う、朝・晩ごはんの後に飲むんです、と言うが、飲むと言い張り、飲む。

カゾクの朝ごはんは、焼きたてのパン(ホームベーカリー)に、卵フィリングをはさんだサンドイッチ、自家製鶏ハム、わかめスープのわかめ抜き、りんご。

服薬。カルボシステイン、リンデロン、タケキャブ、アムロジピン、葛根湯。

ボルタレンが効いてきたら、トイレに歩いて行く、とのこと。

キッチンで気配を待っているが、いっこうに行く気配なし。ノックして部屋に入ると、先ほどと同じ体制でTVを観ている。

「トイレは行けそうもない?」と聞くと、「TVがおもしろすぎて、観てからにする」と、言う。

自分の朝ごはんを、食べることにする。

洗濯物を干し、自室にもどる。

海外に住むいとこからのLINEに、返事をする。

30分もすれば、お昼になる。座ったまま、窓の外を眺める。

午後のこと 最後まで在宅それとも病院か

お昼ごはん、カゾクの。梅おにぎり、おかかおにぎり、昨夜の残りの豆乳シチュー、コーヒーゼリー。

昨日、ケアマネさんは帰り際に、いつもの優しい笑顔から一転きびしいお顔で、在宅で看取るお覚悟ですか?と、私だけに聞いた。

そのつもりだったので、はい、と言った。

「刻一刻と大変になっていきますよ。麻酔や栄養、その他の管がだんだんと増え、やらなくてはならないことが本当にたくさんあり、それに耐えられますか?」と。

この時は「やります」と答えた。

きょうになり、とたんに不安になる。そんな大それたことが、できるのだろうか‥。

だいたい、カゾクは家で看取ってほしい、とひとことも言っていない。

昼食後、カゾクに確認してみる。

「ケアマネさんが、一般論としてだけど、自宅で最後まで過ごすのは大変、と言っていたけれど、どう思う?」と、むなしくごまかしつつ聞く。

「いや、自分だったら、何か体調変化したりしたら、病院に行くよ」と、カゾク。

「抗がん剤だって、数ヶ月したら再開するかもしれないし、その副作用でまた病院行くかもしれないし」と、あくまで病院には行くらしい。

自宅でカゾクを看取るという私の覚悟は、カゾクが自宅で看取ってほしいという覚悟をもたない限り、意味をなさないと、思う。

しっかりと在宅介護をしたいので、きっぱりと覚悟したいが、カゾクがそうでないならぼんやりとした覚悟でいい、と昨日のひきしまるような気持ちを、一旦ゆるめる。

カゾクの部屋で、仕上げ部屋干ししていた洗濯物をたたんで、しまう。

ついでに、カゾクのチェストのなかの混乱状態を整理しておく。

カゾクが自分流に片づけていたので、手をつけずにいたが、昨年救急車で搬送されたとき、パジャマやTシャツがどこにあるかわからず準備にてまどったので、シャツはシャツ、タオルはタオル、と分類して引き出しに入れる。

そうこうしているうちに、ネコの通院時間になる。

一応、顔と背中、お腹としっぽをきれいに拭く。

自転車で10分弱のペットクリニックに、連れていく。

いつもは自転車の前かごで、網状になったキャリーバッグのふた部分に頭をのばして、風に吹かれながらあちらこちらを見ているネコだが、きょうは寒かったらしく、バッグの底に丸まっていた。

クリニック到着後、先生に「ネコちゃーん、いつもお利口さんね」と言われながら、オゾン療法と輸液の治療をおとなしく受ける。

お腹の薬をもらって、帰宅。

洗濯物をとり入れて、夕食のしたく。

カゾクの夕ごはん。鯖の塩焼き、大根おろし、ごはん、きゅうりと大根のぬか漬け、豆腐とネギのお味噌汁、蓮根入りの練り物。

服薬。ボルタレン、カルボシステイン。

きょうの朝早く、柿の実にきていたのは、メジロ。

小さな、スズメのような鳥。目のまわりがくっきりと白い。

小さいけれど、覚悟しているね。

鳥はいいな。

かぞくのかいご。

きょうもいちにちおつかれさまでした。